復職活動とモチベーション
復職したいとは考えていても、なかなかそのための行動がとれないことがあるのではないでしょうか。認知行動療法、アサーションなど、学ぶことが大事だとはわかっていても動けない。それはモチベーションの問題かもしれません。ここではモチベーションに関して目標内容アプローチをご紹介したいと思います。
目標内容アプローチでは、なぜその目標を目指すのかという観点からモチベーションを解明しようとします。そして、モチベーションを2つの目標に大別しています。ひとつは、自分の有能さを証明することが目指されるパフォーマンス目標です。「すごい人に思われたい」というモチベーションです。もうひとつは、有能さを身につけることが目指されるマスタリー目標です。「すごい人になりたい」というモチベーションです。
パフォーマンス目標は、さらに「パフォーマンス接近目標」と「パフォーマンス回避目標」とに区別されています。パフォーマンス接近目標ではポジティブな評価を得ること、「どうすれば他者よりもよい成績をとることができるか」と考えます。パフォーマンス回避目標では、ネガティブな評価を避けること、「どうすれば恥をかかないですむか」と考えます。
さて、リワークでは再発防止のために休職の要因を考えていきます。そこではどうしても休職前のうまくいかなかった状況を考える場面がありますが、パフォーマンス回避目標を持っているとうまくいかないことが多いようです。ネガティブな評価を気にしてしまい、それを避けるためにうまくいっていないことに取り組むことを回避するようになり、リワーク活動に対してモチベーションがなくなってしまいます。
こういうときは、活動の目標をパフォーマンス目標でなくマスタリー目標にしていくとよいでしょう。日常生活では他者からどう思われるかを考えることも大切ではありますが、休職している状況では自分の成長を目指すために活動していくと考える方が復職のためのモチベーションを確保しやすいと思われます。ただし、そうだとしても実際は難しいと感じることが多いのではないでしょうか。そこでリワークでは上下関係のない対等関係のなかで、他者からの視点を気にせず自分自身の成長に取り組める環境を作っています。
参考:モチベーションの心理学 鹿毛雅治 中公新書
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