こころと笑い

紅葉が終わり、本格的な冬に向かっていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
気温と湿度が下がると身体がこわ張って肩がこるという方、風邪をひきやすくなる方など、寒さの影響を受けやすい方はそろそろ防寒対策に取り掛かるタイミングですね。
とは言え、季節や天候は巡るもの。イヤがっていてもしかたありません。
イヤな事ほど笑い飛ばそう! という事で、今日は「笑い」の効果についてお話したいと思います。

笑う事で「心が軽くなる」「気分が晴れる」事を経験をした方がない、という方はいないと思います。笑いやユーモアはその場の楽しさに留まらず、怒りや悲しみを遠ざけ、時には人生に希望を与えてくれます。
笑いの身体への効果については、特に潰瘍性大腸炎、癌、リウマチなど免疫に関する研究が多く行われています。また、脳機能の回復への効果も期待されており、認知症予防への取り組みも進んでいます。
滋賀県立大学では、短期記憶能力、集中力・注意分配能力、知的柔軟性の3つの前頭前野機能に注目した研究がされました。
笑いと脳の関連性として、笑うことによって脳の血流量が増える事があげられます。笑うと頬の表情筋が頻繁に働き、その奥にある顔面動脈が伸縮し、脳から心臓へ戻る血流が増加します。これにより、新鮮な血液がどんどん送られ、脳細胞への栄養供給が増え活性化するのです。
研究の結果として、3つの項目すべてで笑った後のテストの方が点数がよく、笑いによる脳の活性化が認められました。中でも短期記憶能力は特に有意差がみられました。

さて、このように様々な効果のある「笑い」ですが、研究では当然ながら被験者に笑ってもらわなければなりません。
そのために多く使われている方法が「落語」や「漫才」のビデオです。滋賀県立大学の研究では「新婚さんいらっしゃい」のビデオを使ったそうです。土地柄が関西だからでしょうか。
しかし笑いのツボは人によってまちまちなので、研究者が期待したほど笑ってもらえずにデータが出ない事もあるようです。
そんな中で、確実にデータが取れる「1人で笑う」実験もされています。「はい、笑顔を作ってください」という合図で10秒笑顔を作ってもらう事を10回繰り返すのです。 いわゆる作り笑いなのですが、これがなかなかあなどれないもので、笑わないで閉眼安静にしている群と比べるとストレスが優位に下がる事が脳波検査からわかっています。また、自分でいい笑顔が作れたと思ったほどα波が増加したそうですから、「いい笑顔」をするだけでリラックスできるようです。
これらの実験から、ストレス場面には意図的に「笑顔タイム」を持つように心がけるとストレスが下がり記憶能力も上がる事が期待できます。

「動物の中で笑うのは人間だけ」とも言われるように、笑顔は本来人間関係の潤滑油となるべきコミュニケーションツールなのですが、自分自身を励ます効果もあるようです。
「楽しいから笑う」だけが正解ではない事が分かった現代では、「笑うから楽しく」なってみてもいいのではないでしょうか。

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