新米日記23粒目 【保留か、今から葛藤か?】



こんにちは、新米臨床心理士のM美です🍀

なんとなく来年を意識するようになってきました。来年は戌年ですね!🐶🐾

『犬』ではなく普段は見慣れない『戌』という文字。

実は犬の中でも賢い犬を指すのだとか!🐕🐩🐾

☚実家で飼っている私の犬達は『戌』ではなさそうです😅

今週のテーマは先週に【未熟型うつ病】です!

うつ病と呼ばれていますが、実は双極性障害のバリエーションの1つであると考えられている『未熟型うつ病』。今回はそこをもう少し深めていこうと思います。

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M美:「今週もI先生をお呼びしました!先週までディスチミア親和型うつ病について詳しく教えてくださいましたね。今週からは以前【新型うつ】の記事で触れた『未熟型うつ病』についてご教授いただきたいとおもいます!よろしくお願い致します。」
I先生:「よろしくお願いします。」

М美:「早速なのですが、未熟型うつ病というのは『うつ病』という名称がついていますが双極性障害のバリエーションの1つなのですね。とてもややっこしいのですが、具体的にはどのような特徴があるのですか?」

I先生:「たしかにややっこしいですね。『未熟型うつ病』は『ディスチミア親和型うつ病』と同じように、いわゆる世間一般で言われる『現代型うつ』と呼ばれる状態を含む症状といえるでしょう。これは自治医科大学の阿部隆明先生らが提唱した概念ですね。『未熟型うつ病』とは、発症前までは庇護的な環境で大きな葛藤なく育った20代前半~40代の男女に生じ、職業上や家庭生活上の挫折をきっかけに心因性のうつ病を発症すると言われています。症状が長引いたり繰り返すと自殺念慮の強い不安と焦燥感がメインの病像を呈し、他責的で周囲に対して依存と攻撃性を示す一方、ストレスが軽減されると軽躁状態になりやすいと言われています。」

М美:「最初は内因性のうつ病を発症するのですね。ということは、制止や意欲低下、朝が1番体調が悪く夕方になると体調が少し良くなるといった日内変動、早朝覚醒、食欲低下などがみられるという事ですか?」
I先生:「その通りです!ここから言えることは何だと思いますか?」
М美:「えっ!えーと…最初は内因性のうつ病なので初めから『あなたは未熟型うつ病ですね』とわかるわけではない???ということでしょうか????」
I先生:「ふふふ、まあよいでしょう。そうなんです。最初から『未熟型うつ病』の病像を呈するわけではないんですね。症状が長引いたり繰り返されるに従って固有の病像が出現するのです。つまり、不安や焦燥、パニック発作、執拗な身体的愁訴が目立つようになってきます。」
М美:「診察を重ねてその人を知っていくうちにただの内因性のうつ病ではなく未熟型うつ病なのかも?と理解していくところは双極性障害の診断にとても似ていますね。」

I先生:「『未熟型うつ病』の場合、抑うつ状態が長引くにつれ、医療者に対して強い依存を示します。その一方で『症状がよくならない!』と不信感を持って激しく非難することもしばしばあり、行動化も顕著となります。」
М美:「依存的であるというのは庇護されて大きな葛藤なく育ったという生育上の特徴からですか?」
I先生:「1つの要因といえるでしょう。両親や他の同胞から庇護されて育つという事は、発達途上で明確な葛藤が形成されにくいということです。つまり、依存欲求が満たされたままで発達するということです。なので、未熟型は末子に多く、その性格は依存的、わがまま、自己中心的、顕示的になりやすいのです。もちろんそのように育ったすべての人がもれなく『未熟型うつ病』になるわけではないですよ。」

М美:「なるほど…ん?依存欲求が満たされたままということは自立を志向するときも危ないのでは?」

I先生:「そうです!『未熟型うつ病』の場合、職業上で葛藤を抱えること以外にも自立を志向するとき、また主婦の場合には夫の両親との同居など、自分のペースで生活ができなくなることが発病のきっかけとなるようですよ。」
М美:「ということは回復していくには復帰先の環境が本人にとって受け入れられるものかどうかによるということでしょうか?」
I先生:「そうですね。本人にとって復帰状況が受け入れられるものでない限り、心理的な負荷となって抑うつ状態の回復を妨げることになります。一方で、苦手な上司が移動になったなど一時的に問題が棚上げされると軽躁状態を呈することも稀じゃあないんですよ。つまりは、本人が持っている依存性をある程度満たす庇護的な環境に置かれることで一時的に復帰は可能ですね。」
М美:「なるほど。しかし、それだとまた不適応を起こした時と同じような環境になればまた同じように再発しますよね?」
I先生:「目に見えていますよねえ~。なので、自らの高望みを止めて現実的な状況認識が可能になって初めて回復すると言えるでしょう。」

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今週はひとまずここまで~

来週は今回のお話で疑問に感じた『なぜ内因性のうつ病から未熟型うつ病へ進行?していくのか』という部分をお聞きしていきたいと思います。

それでは、また来週〜♪

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