新米日記19粒目 【適応力は個人の力だけではない!後編】
こんにちは、新米臨床心理士のM美です🍃最近ぐっと気温が下がってきましたね。
少し暖かいお布団を出さなければ朝方寒い気温になってきましたが、日曜日は少し気温が上がるそうです。温暖の差が激しい季節ですので風邪にはお気を付けください。
(そんな私は鼻風邪を引いています。本当にお気を付けください!!!)
今週のテーマは【適応障害の後半戦】です!
前回は適応障害とはなんぞや?というお話でしたので、今週はじゃあ、ストレスと上手に付き合うには何をどうすればいいの?というお話をお伝えしたいと思います。
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M美:「今週も引き続きI先生にご教授いただきたいと思います!よろしくお願い致します。」
I先生:「よろしくお願いします。」
М美:「前回の新米日記では適応障害について詳しく教えていただきましたので、今週は適応障害のきっかけになりうるストレスに上手く対処するために知っておくべきことについてお聞きしたいと思います!」
I先生:「適応障害はその人の特性と環境との相互作用が上手くいかないことによる症状であることは前回ご説明したと思います。つまり自分と環境とのバランスが崩れている状態なんですね。なので、バランスが取れるように自分や環境に働きかければいいのです。」
M美:「環境調整では、例えば部署や担当するお仕事の内容を変えてもらったりと様々なアプローチの仕方がありますね。転職することも有効な手段ですね。」
I先生:「そうですね。環境を調整することはとても有効な手段ですが、本人が適切な人に相談しなければ難しいことです。そのためにはきちんと状況や自分の気持ちを整理したり言語化したりする必要がありますね。」
М美:「たしかにそうですね。環境調整を要請するためにはまず自分の中で整理しないと言えないですもんね。」
I先生:「ストレスは抑えようとすればするほど増大する特徴を持っています。自分の感情を誰かに聞いてもらったり、考えを整理したりすることで曖昧だった気持ちや事態を明確に意識化・言語化することができます。出来事や感情を人に話すということは、まず時系列順に整理しなければなりません。そうすると、主観的な体験とは別に客観的な体験として再構築されますので、ストレスへの対処方法としてはもちろんのこと、環境調整をお願いする際にも役立ってくるでしょう。」
М美:「まずは誰かに相談して話を聞いてもらうということはとても大切なことなんですね!場合によっては助言が得られるでしょうし、一石二鳥どころではないですね!」
I先生:「相談できる人がいない、そういう人間関係を築くことが苦手である、という方もいらっしゃるでしょう。そのような場合はカウンセリング(心理療法)などを上手く利用するといいでしょう。ストレスを乗り越える力はその人個人の力だけでなく、その人を支える力によっても左右されます。問題があった場合、問題解決が苦手な人ほど自分だけで何とかしようとする傾向があります。直近の出来事の解決のためだけでなく、今後の人生を少ない苦痛で乗り切るためには一度足を止めて自身の問題に取り組むことは長い目で見るとある意味お得なことなんですよ。」
М美:「たしかにそうですね。頼り方がわからない、身近に相談できる人がいないのならばそういう人間関係を築く方法やスキルを学ぶことは今後の人生にプラスになりますもんね!」
I先生:「また、ストレスは自分でコントロールできると小さくなる性質を持っています。不安や緊張を問題視するのではなく、ストレスと感じている出来事をコントロールする方法を考えましょう。」
М美:「不安や緊張を感じている自分を責めるのではなく、なぜ自分はこの状況になると不安に陥るのか、一体何が起こっているのかという方に目を向けるということですね!」
I先生:「そこに気付くことができれば対策を打つことができますからね。適応障害の場合、頭の中でぐるぐるの考えることに莫大なエネルギーを注ぎ込み、適応する前には疲弊している場合がほとんどです。例えば『あれはできる』『これはできない』と判断を下し、『あれしろ』『これはするな』『迷惑をかけるな』『失敗するな』と命令する独裁者が頭の中にいたら何か困難に直面した際うまく対処できずとてもつらい体験に感じられるでしょう。このような思い込みはエネルギーをどんどん消耗させてしまうんですね。」
М美:「なるほど…独裁者ですか。ほかにもこのようなメタファーはあるのですか?」
I先生:「ありますよ。言葉が次から次へと際限なく溢れてくる言葉製造機、暗い過去と破滅的な未来、不満ばかりの現在について好んで放送する憂うつなラジオ、注文が多く、思い通りにならないと癇癪を起こすわがままな子ども、変われない理由と変わらないほうがよい理由を大量生産する理由付けマシーン、朝から晩まで評価ばかりしている評価製造工場といったところでしょうか。」
М美:「こういったメタファーがあると自分を理解しやすいですね!『ああ、また理由付けマシーンが動き出したぞ』と自分が自分の考え癖に振り回されていることに気付きやすくなりますね!」
I先生:「このように、カウンセリングでは認知療法や認知行動療法といった技法を使い、自分がその出来事をどのように体験し、その出来事の実際と自分の解釈を分析し、自身の物事の捉え方を修正していく取り組みがなされます。自分がどんな思考と一体化しているか、どんな気持ちを回避しているか、どんな効果的でない行動をとっているか、カウンセラーとともに見つめ直すのです。」
М美:「いわばカウンセラーはコーチのようなものですね!」
I先生:「次に、ストレスは限界を超えてしまうと慣れるどころか敏感になってしまう特性があります。よって、不適応を生じている環境を解決し、ストレスに対する耐性を高めて不適応を克服し、その環境で支障なく生活できるようにする必要があります。そのために社会スキルトレーニングや認知行動療法、リワークなどを通じて不適応の原因を突き止め、対処方法を身につけることが重要になってきます。」
М美:「対処できるようになればそもそもストレスにはならないですもんね!トレーニング期間に学んだことを実際に試しにやってみて自分にとって良い効果をもたらす行動や考え方を吸収していければいいですね。」
I先生:「また、合わない環境からできるだけ早く離れて適した環境に移り、新たな環境での適応を図ることも重要なことです。一方で、困難や試練を乗り越える粘りや抵抗力もある程度必要ですね。」
I先生:「最後に、『安全基地』をもつことの大切さを知ることはとても重要なことです。実際には一人一人の適応力にはそんなに差はないんです。適応力の差は、どれだけ人の力を味方に付けられるか、人に助けてもらえるかによるのです。」
М美:「私たちのリワークでもアサーションや認知行動療法のプログラムの中で適応のためのスキルをトレーニングしたりしていますね。」
I先生:「必要なのは病気を治そうとするのではなく、その人の特性と環境がうまく調和するように、スキルを身につけたり、物事の捉え方を修正したり等の自助努力・セルフヘルプなのです。」
М美:「人に相談して、助言をもらって、懸案に立ち向かい、行き詰まりを打開し、問題の最終的な解決は自分でつけるしかないですもんね。」
I先生:「そのためには、まず負荷の強さや持続期間を客観的に捉えることが大切ですね。どのように体験し、どのように解釈したかという主観とは別に、実際に何が起こっているのか少し離れたところから状況を把握する目が必要でしょう。また、自分の対処能力がどれくらいのものか、できる・できないの100か0ではなく、どこまでは対処できてどこからは難しくなるのか、自分を知ることです。そして自分を支えてくれる資源はあるのか冷静に判断することです。」
М美:「負荷が大きかったとしても対処と支えがそれより大きければバランスは取れているということになるんですね!常に負荷<対処+支えでありたいですね。」
I先生:「もし、今そのバランスが崩れているのであれば、調和を取るための取り組みを今からなさるのがいいでしょう。適応障害は他の精神疾患の『玄関口』になりうる可能性があるという論文も出ていますのでご自身の問題を丁寧に扱って行きましょう。」
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いかがでしたでしょうか?
適応力とは自分だけの力ではないんですね!
新宿御苑前メンタルクリニックではカウンセリングもリワークも行っているので、お困りの方は1度相談してみてくださいね!
それでは、また来週〜♪
当院クリニックの情報
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