新米日記17粒目 【紛らわしい病名たち】
こんにちは、新米臨床心理士のM美です🍂
先週は夏休みをいただいておりまして、久しぶりに実家に帰って犬2匹とだらだらと過ごしました!東北の風はもうすでに冷たかったです、秋ですね。
しかし、ベランダに出て犬と一緒に日光浴をしてみたのですが、太陽って本当に暖かいですね。むしろ、暑いくらいで犬と一緒に室内に避難しました!
たまには風や太陽を感じてみるのもいいですね!(熱中症にはまだまだ注意です!)🌞
今週のテーマは【うつ病の周辺】です。
うつ病の周辺には、紛らわしい病名や症状名がたくさんあります。
今回は、そうした病名・症状名の違いをお伝えしていきたいと思います!
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M美:「今週もI先生をお呼びしました!よろしくお願い致します。」
I先生:「よろしくお願いします。」
М美:「今週のテーマは【うつ病の周辺】です。企業に提出される診断書の診断名として、最も多いのが『うつ病』『抑うつ状態』『うつ状態』『反応性抑うつ』『心因反応』『適応障害』あたりかと思うのですが、どれも似たり寄ったりで紛らわしいですよね。」
I先生:「そうですね。この中で言うと『うつ病』以外は、環境と自分との間に摩擦が起きて苦悩している状態と言えるでしょう。『うつ病』は疾患名ですが、『抑うつ状態』『うつ状態』は状態像の診断ですね。つまり、抑うつ状態やうつ状態はうつ病に限らず、不安障害や統合失調症、認知症、ステロイド薬の服用中といった薬物因性の精神障害、クッシング症候群といった身体疾患に合併する精神障害にも表れるということです。」
M美:「なるほど…『うつ病』でなくとも脳と心のエネルギーが過剰に減ってしまえば一般的に皆さんが理解しているであろう『ウツ』という状態にはなりうるということですね!」
I先生:「次は『反応性抑うつ』の説明ですね。これは『反応性うつ病』とも言われまして、限定的な意味合いで使われることがあります。」
M美:「といいますと???」
I先生:「つまり、何かはっきりした原因をきっかけにうつ状態に陥っている場合を言います。例えば、仕事でミスをしてしまった、突然苦手な仕事内容の部署に異動となった、といった出来事をきっかけとしています。」
M美:「あれ?うつ病って内因性で躁状態が伴わないものではなかったでしたっけ?」
I先生:「良く気がつきましたね。内因性のうつ病とは、原因が明らかではない、素質や遺伝的素因が関係していると考えられるうつ病のことですね。また、躁状態とうつ状態の両方を持つ双極性うつ病とうつ状態のみの単極性うつ病があります。単極性うつ病がいわゆる『大うつ病』と呼ばれるものです。『反応性抑うつ』も『内因性単極性うつ病』もこれらを単に『うつ病』という言葉で表現されている場合もあるんですよ!」
М美:「ひええ…!紛らわしい…!!!原因がはっきりしているものと、原因が特にない素質や遺伝が関係するものを同じ『うつ病』という言葉が使われているのは結構深刻な紛らわしさではありませんか?!?!」
I先生:「結構深刻な紛らわしさだと思いますよ。中身は全然違うものですからね。『心因反応』も説明の前に、M美さん。外因性・心因性・内因性の違いはわかりますか?」
М美:「はい!外因性は心の外側に原因がある精神障害のことです。服用している薬剤の影響であったり、アルコール性のものだったり、何らかの身体疾患が原因で生じるものが外因性に分類されます。」
I先生:「そうですね。糖尿病患者の10%〜20%はうつ病を合併すると言われていますし、パーキンソン病に至ってが30%以上にうつ病が合併すると言われているんですよ。」
М美:「外因性のうつ病は意外にも多いんですね!!」
M美:「次に心因性は、精神的な原因や性格的な葛藤があって生じる精神障害です。不安障害やPTSD等が心因性ですね!」
I先生:「先ほどご説明した反応性うつ病も心因性に分類されますね。」
М美:「最後に内因性は、うつ病の説明でもありましたが素質や遺伝によって生じるもので,統合失調症や双極性障害、再発を繰り返す単極性うつ病等が内因性に分類されます。」
I先生:「これらの説明を踏まえて聴いてほしいのですが、『心因反応』とは何らかの心理的なきっかけがあり、その反応として生じた精神障害のすべてを含んだ病名なんです。」
M美:「ええ!!それはとても広すぎるのではないですか???」
I先生:「そうなんです。症状が不安でも不眠でも抑うつ状態でも躁状態でも全て『心因反応』なんです。反応性うつ病の方が診断としてはより絞った診断といえるでしょう。」
М美:「しかし、前回の新米日記で取り上げた診断を早急にしてしまうリスクを考えると『心因反応』という診断も初期の段階での説明などには有効そうですね。」
I先生:「近年では『心因反応』に代わって『適応障害』が使われるようになってきています。適応障害とは、ある出来事があり、それに適応する努力に失敗した際に心身の症状として現れるという考え方が元になっています。心因反応と同じように広い病態を指すものですが、病気の主体がきっかけとなる『イベント』からある出来事に対する『人間』にシフトしてきたことで新たに登場した病名と言えるでしょう。」
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いかがでしたでしょうか?
うつ病という言葉には本当に多くの意味が含まれているんだなあ、と改めて感じました。
来週は、『適応障害』についてより詳しくお伝えしていきたいと思います!
それでは、また来週〜♪
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