新米日記 1粒目【聞いたことはあるけれど…うつ・前編】

木々の緑が若々しく、まぶしい季節になってきましたね。
はじめまして、新米臨床心理士のM美です。


このブログでは、わたくしM美がベテラン精神科医の先生方に気になる病気や症状についてお聞きし、みなさんにお伝えしていこうと思います。


第1回目のテーマは【うつ】!!
3週に分けてゆっくりお伝えしていきたいと思います!

 

傘を持っていない状況での突然の雨、しかもベランダに干したままになっている洗濯物の存在が脳裏をよぎります。おまけに、洗濯した1着は明日のデートで着ようと思っていた服だったりすると、思わず「うわあ…ゆううつだ…」とつぶやいてしまうのではないでしょうか?

このように比較的気軽に使われる『ゆううつ』のほかにも、『うつ病』や『抑うつ状態』といった病気や症状の言葉としてもよく耳にしますよね。
しかし、よく耳にする身近な言葉なのに、知っているようで知らない、謎めいた部分がおありなのではないでしょうか。

そこで今回は、ベテラン精神科医O先生にずばり!『うつ』とは何なのか、お聞きしてきました!
O先生は、少量のお薬を使った治療の専門家です。ご自身が持っている回復力を最大限に発揮させるために、少ない種類のお薬で治療を行っています。

 

M美:「O先生、今日はよろしくお願いします。」
O先生:「こちらこそよろしくお願いします。」
M美:「今回のテーマはずばり【うつ】なのですが、一般的な会話で使われる『うつ』とお医者さんが使う『うつ』って違いますよね?」
O先生:「そうですね、皆さんが一般的に使っている『うつ』という言葉にはブルーな気持ちといったネガティブな意味も含まれていますね。」
M美:「例えば、傘を持っていないのに雨に降られ、さらに洗濯物がベランダに干しっぱなしになっていることを思い出してしまった。しかもそれは、明日のデートに着ていこうと思っていた服だったのでものすごく落ち込んだ、という気持ちでしょうか?」
O先生:「まさにそうですね。一般的な意味合いでは、落ち込んだ・へこんだといった言葉に近いかもしれないですね。これらの状態は出来事が過ぎてしまえば自然に回復する一時的な状態です。」

M美(ということは、自然に回復するレベルの状態ともう自然には回復しないレベルの状態があるということなのかな?)
M美:「それでは、精神科医のお医者さんが使う『うつ』とは何なのでしょう?」
O先生:「我々が使う『うつ』とは、医学的な対処が必要とする状態を指しています。つまり、脳やこころのエネルギーが減ってしまっている状態ですね。先ほどのように放っておいても自然には回復しない、『治療』が必要な状態を我々は『うつ』と呼んでいるのです。」
M美:「脳とこころのエネルギー!つまり『うつ』とは、脳とこころのエネルギーの浪費分を自然に回復する量ではまかなえなくなってしまった状態ということですね!」(つまり赤字状態、借金状態ということか!)

M美:「このエネルギーが減ってしまうとどうなってしまうのでしょう?」
O先生:「食欲がなくなったり、眠れなくなったり、いろいろなことが億劫になったり、頭の回転が悪くなったり、突然涙がこぼれてしまったり、消えてしまいたくなったりと、様々な面に影響が出てくるんですね。もしかしたら男性の方には涙がこぼれたりっていう症状はぴんと来ないかもしれないですね。」
M美:「ほかにも趣味が楽しめなくなる、といったものもありますよね?」
O先生:「趣味というほど立派なものでなくとも、例えば、音楽やテレビ、ネットサーフィン、動画鑑賞といった日々のささやかな楽しみを『楽しい』と思えなくなる、新聞や小説を読む気が起きなくなるというものも1つの指標になりますね。」
M美:「なるほど、毎日のささやかな行動ですね!たしかに趣味を持っている方って案外少ないですもんね。」
(こう聞くと、本当に誰にでもなりうる病気なんだなあ)

 

会談はまだまだ続きますが、今回はここまで☆
来週も『うつ』の謎めいた部分を少しずつ明らかにしていきたいと思います♬

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